例年になく暖かい冬とはいえ、それでも日に日に寒さが増しておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
昨年もまた、天候不順に悩まされ、相変わらずの資材の高騰など、果樹栽培を取り巻く環境は決して優しくはありませんでした。しかし、皆様のおかげで、また新しいシーズンを始めることができます。心より感謝申し上げます。
2024年は、カメムシによる吸汁害や、りんごの褐斑病、輪紋病といった病気の発生、さらにりんご、桃ともに樹の枯死などが要因で、思うような収量が得られませんでした。こうした病害虫等の発生も悩ましいのですが、さらに、頭が痛いのは、果実の成熟期の遅れです。
ここ何年かは、りんごの成熟が遅れる傾向にあります。2024年も、10日から2週間ほど遅れ、とても気をもみました。秋がいつまでも気温が高いこと、特に夜温が下がらないことが原因かと思われます。温暖化により、りんごの酸含量は減少し、糖含量は増加し、その結果、りんごが甘く感じられるようになってきているとのこと。しかし、近年の高温化は、行き過ぎているように感じています。
いかに成熟したりんごをお届けするのか、これは果樹栽培を生業としていく上で最も大切にすべきことで、そのためには、品種構成のことと栽培技術のこと、この2点をしっかり取り組んでいかなければと考えています。
現在、りんごの品種構成は「ふじ」が中心となっています。「ふじ」はとても素晴らしい品種で、今後もりんごを代表する存在であり続けると思います。しかし今後は、「ふじ」以外の、蜜は入りやすいが果肉が軟化しにくい品種、蜜がもともと入らないもしくは蜜が入らなくても味が良い品種、こういった品種の増産を早急に進めていくべきと思い、いろいろな品種を試作しています。
また、ここ2~3年の作柄から、そもそもりんごに向いていないと思われる場所(区画)もあり、そこは桃に転換しようと考えています。洋梨ももう、枝枯れや果実の病気の発生が止まらず、当地での栽培は難しいと思われます。
この冬は、たくさん樹を伐って、苗木を植えることになりそうです。
本年も変わらず、桃やりんごを皆様にお届けできるよう、一つ一つの作業を大切に積み重ね、求められる果樹園を作っていきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、インフルエンザなども流行っています。体調を崩されたりされませんよう、くれぐれもご自愛ください。
窒素を残さない管理
りんごを完熟させるためには、栽培技術を向上させていく必要があり、それは「整枝・剪定」と「肥培管理をはじめとした土づくり」といったことになります。
年が明けて隣県で開催された整枝・剪定の講習会において、以前よりお世話になっている古幡先生は、今後も高温傾向が続くようであれば、「果実に窒素を残さない管理」が必要になるというお話しをされました。休眠期の整枝剪定のみならず、肥培管理や夏期管理の進め方についても言及されました。
10年前には、「肥料を減らすと、樹勢が弱り、果実肥大も劣り、病気にもかかりやすくなる。」そう説明を受けたのに。以前の常識が通用しなくなっています。
病害虫防除も肥培管理も品種構成も、常にアップデートしていく必要性を感じさせられます。
りんごの病害対策−化学的防除と耕種的防除-
昨秋、父が長野県に行った折、収穫後のりんご園地にモア(草刈機)を走らせている光景を目にしたそうです。
ここ数年、りんごの褐斑病の発生が看過できない状況になっています。梨の黒星病対策として、感染した落ち葉を適切に処理し、感染拡大を防ぐことが大切だと言われており、草刈機による粉砕処理や、トラクターによる土壌へのすき込みなどの手法が紹介されています。そこで、りんごでも、褐斑病対策として落葉処理をしてはどうか?という話がありました。父が目にした作業は、おそらく、粉砕処理を行っていたものと思われます。
近年、温暖化により開花時期は前進しています。しかし秋の高温化によりりんごの成熟が遅れ、栽培期間は長くなっています。そのため農薬の散布回数は増えていますが、安全性の面から、化学合成農薬の使用回数を増やすことには抵抗があります。さらに薬効という面も含め、近年では使われなくなったボルドー液を再評価する動きがあります。
さらに、化学的防除(薬剤散布)だけでは、病気を容易に防げないところまできており、今後、上述のような耕種的防除を組み合わせていくことが、重要になっていきそうです。
ただ、この耕種的防除もボルドー液も、決して新しいものではなく、手元にある戦中の本(昭和18年に発行)にも紹介されています。
化学合成農薬の発達により重視されなくなった手法が再評価されつつあることに、先人の知恵の偉大さや、農業技術の進歩について、いろいろと考えさせられます。
ふくわらびのくだもの−りんご、加工品のご案内-
現在、りんご(生食用)の販売はほぼ、終了し、ジュースやジャムなどの加工品の発送を行っています。
加工品ージュース、ジャムー
2024年産果実の、りんごジュースやジャムができています。
美味しく出来上がっています。どうぞご利用下さい。
りんごジュース
すりおろし果肉入り 850 円/1L
ストレートタイプ 850 円/1L
ジャム
りんごジャム(紅玉) 450 円/200g
りんごジャム(ふじ) 450 円/200g
桃ジャム 450 円/200g
洋ナシジャム 450 円/200g
※りんごバター、シナモンりんごジャムなどは出来上がるまで、もう少々、時間がかかります。
お届けの詰め合わせ例(送料別)
りんごジュース 6本入(5,100円)/3本入(2,550円)
りんごジャム 6瓶入(2,700円)
※ジュースやジャムの個数は、ご希望に応じて調整いたします。(緩衝材を用いて、一つの箱にお詰めします。)どうぞご相談ください。
「ふじ」、食べ切りサイズ、少しだけ、在庫ございます
「ふじ」を冷蔵庫に貯蔵しています。食べ切りサイズの、小ぶりの果実となります。よろしければ、どうぞご利用ください。
いずれも、残りが50箱ほど。(2024年は収穫量が少なかったため、貯蔵量も少なくなっています。)売り切れの際は、どうぞご容赦ください。
ーりんごの価格(送料別)ー
ふじ(250~280g)
5k 箱(18 玉入り) 3,400 円/3k 箱(12 玉入り) 2,600 円
ふじ(220~250g)
5k 箱(20 玉入り) 3,000 円/3k 箱(13~14 玉入り) 2,300 円
※貯蔵りんごについてお願い
収穫から時間が経ちますと、どうしても内部の傷み(内部褐変)が進みます。故障果を除く努力しておりますが、何分、外観からは傷みが判断できません。混入する可能性もございますが、ご容赦下さい。
ご注文/お問い合わせ先
福蕨(ふくわらび)
509-3206 岐阜県高山市久々野町山梨88-14
TEL 0577-52-2494 / FAX 0577-52-2994
e-mail hukuwarabi@hidatakayama.ne.jp
url http://hukuwarabi.net