季節のお便り_十一月「ふじが紅く色づいてきました。」(2022.11.02)

この数年は、秋も暖かい傾向にありました。
しかし今年は、10月20日、21日に、氷点下まで下がりました。例年よりも早い、あまりに突然の冷え込みに驚いています。早々と冬用の暖かい作業着を出してきました。

果樹園は今年も、春から開花期の低温傾向、梅雨時の酷暑、続く長雨といった天候不順に悩まされました。そしてりんごは、そういった天候の影響でしょうか、味がいつもと違います。
全体に、甘さの中に酸味が感じられます。シナノスイートは、今までは(ただ、甘いだけ…。)と思っていたのですが、再評価しました。また「秋映」は、酸味がいつまでも強く、困惑しました。本来、「秋映」は、甘酸っぱいりんごだったことを思い出しました。
しかし「紅玉」や「ひめかみ」「秋ひかり」といった品種は、例年に比べ酸味がかなり控えめで、酸味が苦手な私でも美味しくいただけました。また、生育期間が長かったおかげか、あるいは雨のおかげか、いつもよりも味がしっかりしているように思います。「ふじ」も、葉摘みをしながら誤って落としてしまった果実を切ってみると、すでに蜜も入りかけており、美味しいし、幸せな気分になります。(収獲はこれから10~15日後です。)

この「ふじ」の美味しさは、ふじの育ての親とされる故・斎藤昌美氏の功労によるものが大きいのですが、斎藤氏はりんご栽培を平和産業であると言われました。戦争という時代を過ごした氏が、平和産業という言葉に込めた思いは大変なことと思われます。それでも、この社会情勢の中で「ふじ」の美味しさを噛みしめると、平和産業の意味が、僅かながらわかるような気がします。 この数年、天候不順が続き、これまでのように当たり前に作れなくなっていくことは大きなストレスです。将来への不安もあります。しかし、環境の変化に素直に向き合い、良いものをお届けできるよう、諸先輩を見習い、努力を重ねていきたいと思います。

さて、間もなく「ぐんま名月」の、さらに10日過ぎからは「ふじ」と、魅力的なりんごの収穫が続きます。この秋もどうぞ、ふくわらびのくだものをよろしくお願いいたします。

肥料の価格

肥料や飼料の価格が高騰している話は、この春からニュースなどで見聞きしていました。化成肥料は、昨年の倍ほどになったと聞きます。当園が実際に、この秋、受け取った請求書を見てみると、当園で長年、使用している有機質肥料も、昨年から7割ほど価格が上がっていました。(秋にまた値が上がるそうです。)
肥料屋さんに話を聞いてみると、「どこも大変な状況で、業者によっては肥料設計に鶏ふんを入れたりして経費を抑えようとしている」「(良質な有機質肥料を使い、味をよくしようという)時代に逆行しているような気がする」と。
しかし、一農家の問題ではないので、逆行というよりむしろ、退行しているように感じてしまう。

以前、「(スーパーのりんごの価格を見て)必要経費すら出ないのではないか?」と書きましたが、状況はさらに悪化しているように映ります。
なんとか好転して欲しい、生産者が誇りをもって作れる時代になって欲しいと願っています。

ふじの生育状況

今春、ちょうど、りんごの開花期は低温傾向でした。そのため、ミツバチが活動しなかったり、りんごの花粉が活性化せずに受粉できなかったようです。結果、特に「ふじ」は、着果量が少なく、果実肥大や果形についても、芳しくありません。
ご要望にお応えできない場合もございますが、どうぞご容赦くださいますようお願い申し上げます。今年も、春の霜害から始まり、長雨、豪雨などが続き、厳しいシーズンとなっております。そんな中、皆様から暖かい、励ましの言葉をお寄せいただき、嬉しく存じます。心より御礼申し上げます。

温暖化とレッドゴールド

10月10日付の日本農業新聞に、「温暖化により、りんごの着色や軟化が問題になっている」という記事がありました。この変化、一生産者としてひしひしと感じています。
この数年、桃の収穫期は前進しました。以前は、8月17、18日頃から桃を収穫していましたが、この数年はお盆前から収穫しています。また、りんごの糖度は上がり、大きさも他産地なみになってきました。紅玉の酸味も、昔ほどではありません。さらに、過度に凍結しないように焦っていた「ふじ」の収穫も、今はじっくりと樹において熟させることができるようになりました。
温暖化は良いことのようではありますが、やはり、警戒しています。夏の高温は花芽形成を阻害する一因となるそうです。また、果実が日焼けしないために、軟化しないために、きれいに着色するために、何ができるのかを考える時間が増えました。剪定技術や摘果の時期や強さ、肥料の質、使う台木の種類など、検討すべきことはいろいろあります。

しかし、なかなか気候の変化に抗うことは難しく、特にこの数年、レッドゴールドの軟化が気がかりとなっています。親は、「昔から、久々野では作れても、標高が下がると作れなくなる、と言われていた」といいます。その昔から比べれば、ここ久々野はすでに適地から外れているのではないか。もう、数年もすれば、幻の品種となってしまうのではないか。
とても好きな品種なんですが。

ふくわらびのくだもの−りんごのご案内

- 11月上旬のりんご詰め合わせ -

11月上旬は、「シナノスイート」や「秋映」「清明」(10月下旬収穫のりんご)に、「秋陽」や「ぐんま名月」などの11月上旬に収穫できる品種を詰め合わせた箱をお届けします。

- 11月中下旬のりんご‐ふじは11月20日前後から -

「ふじ」の発送は、11月20日頃から予定しています。いろいろな品種がありますが、安定した食味を発揮する品種だと思います。

- 11月中下旬のりんご詰め合わせ -

11月中下旬には、「ふじ」のみ、もしくは「ふじと黄色いりんごの詰め合わせ(品種混合)」をお届けします。品種混合では、一箱で3~4品種ほど楽しんでいただけるようにしたいと思っています。
黄色いりんごには、「王林」「金星」「星の金貨」「ぐんま名月」「はるか」「青林」「こうこう」「きみと」、そして「グラニースミス」などがあります。
なお、これら黄色い品種は、「ふじ」との詰め合わせ用に生産しています。黄色いりんごのみのでの出荷はお断りする場合もございます。

お断り

- 11月10~25日は収穫作業に集中しています -

「ふじ」の収穫期となる11月10~25日の間は、りんごが樹上で過度に凍ってしまわないよう収穫を優先し、発送作業日を減らします。急な配達日指定にお応えできない場合がございますので、事前にご相談、ご確認ください。

- ご自宅用りんごについて -

ご自宅用りんごの箱には、全てではありませんが、多少の傷や変形果、そして化学合成農薬を減らした結果の虫害や病斑がついたものが混ざります。予めご了承ください。

- 「ぐんま名月」の芯の褐変について -

「ぐんま名月」は、美味しい品種ですが、種のある芯の部分が少しだけ茶色くなることがあります。食味には全く関係ありませんが、気になります。これは、年によっては樹についている時、まだ青い果実でも既になっていることがあり、原因もわかっていません。どうぞご理解、ご容赦下さい。

ご注文/お問い合わせ先

 福蕨(ふくわらび)
 509-3206 岐阜県高山市久々野町山梨88-14
 TEL 0577-52-2494 / FAX 0577-52-2994
 e-mail hukuwarabi@hidatakayama.ne.jp
 url http://hukuwarabi.net

お願いー新型コロナウイルス感染症対策ー

飛騨地域でも新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念されます。 当園は、小規模な家族経営ですので、感染対策も尽くせるかどうか、定かではありません。また、ワクチン接種もまだできておりません。 どうぞご注文は、できるだけお電話やファックス、メールにてお願いしたく存じます。

2022年11月02日