季節のお便り_一月「寒中お見舞い申し上げます」(2023.01.10)

12月の寒波で果樹園には雪が降り積もり、今は静かに一年の始まりを迎えています。寒さ厳しい日もありますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
旧年中は大変お世話になり、心より感謝申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

果樹園は今、間伐や整枝剪定の時期となりました。これは、今年の収獲に向けた作業であるとともに、果樹園の未来像を考える時間でもあります。

りんごは、わい性台木(コンパクトな樹形になる、樹勢が弱い台木)で7~8年ほど、喬木性の台木で15年ぐらいで成木になります。これは単に樹の骨格が出来上がり、反当りの収量が最大値に達する(盛果期収量に達する)年数で、果実品質が良くなるにはさらに年数が必要です。年数を経て、樹勢が落ち着き、枝がこなれ、果台枝が沢山できて、初めて満足いく樹になります。(この姿を求めて、生産者は「整枝剪定」や「敵花・摘果」に精を出します。)
そこで以前は、とにかく樹勢を落ち着かせることを一番に剪定してきました。しかし、先生には「ほどほどに落ち着いた樹勢を維持するような剪定をしなければならない(弱らせてしまってもいけない)」と教えられました。確かに樹勢が弱すぎると、果実が小さくなってしまうなど、弊害もあるようです。また、近年、頻発する豪雨や長雨、高温などの異常気象への耐性も弱いのではないかと感じています。こうしたことから、今一度、整枝剪定を見つめ直すことと同時に、弱った樹の植え替えを急いでいます。
また、雨の多さか、秋の高温によるものか、年々、「ふじ」の蜜入りが難しくなったり、収穫期が遅れるようになっています。そこで「ふじ」は、より新しい、蜜入りしやすい系統を導入し、一方で、「ふじ」より収穫期が早く、かつ味がよい品種を増やす方向で改植を進めています。

ところで昨年、近所の農家で、痛ましい農作業中の事故が立て続けに2件、起こりました。労災件数を比較し、「農作業はそれ以外の仕事の十倍は危ない」という記事を読んだことを思い出しました。植え替えと同時に、梯子を無理に立てなければならないような場所、機械が楽に通れないような通路、そういった場所を改善していこうと考えています。

こういったわけで、この冬はたくさんの樹を伐採していくことになりそうです。

肥料にカラスの群れ

数年前、肥料を変えました。同じような中身の有機質肥料ですが、粉末状のものから粒状のものにしました。すると、散布後にはそれを狙ってカラスが集まってくるようになりました。
肥料代の、驚きの値上げもあったので、せっかく散布したものを食べられては勿体ない。そこで今年は、雪が降るぎりぎりのタイミングで散布しました。それでも、雪が地面を覆い隠すまで少し間が空いたため、やはりカラスの群れが圃場内を飛び回りました。どうやって呼び合うのかわかりませんが、あれよあれよと数が増えました。
雪が積もり、地面の肥料を食べられなくなっても飛来し、りんごの樹や支柱に止まり、下を歩く人間の様子を伺う光景がしばらく続きました。
そこで父は、園内にテグス糸を張りだしましたが、「これは徒然草にも書いてあった」と盛り上がっていました。(徒然草第十段に「小坂殿の棟に、いつぞや縄をひかれたりしかば…」とあるようで。)

当園は、戦後、山の傾斜を開墾した所です。朝、障子を開けると、キツネが座っていたり、夜、倉庫から外に出ると、タヌキの兄弟?が走り回っていたり、カモシカが牧柵の外側をゆったりと歩いていたり。野生動物が行き交います。
これからいよいよ冬本番。雪がさらに積もり、獲れる餌が少なくなる時期。雪上の足跡を見ながら、どんなふうに生きていくのだろう?そう思いながら剪定道具を準備しています。

ふくわらびのくだもの−りんご、ジュース、ジャムのご案内-

「ふじ」、若干、在庫ございます

現在、多くはありませんが「ふじ」を冷蔵庫に貯蔵しています。12月までの果実と比べ、小ぶりとなります。よろしければ、どうぞご利用ください。
また、極小粒のもの(200~220g)も冷蔵貯蔵してあります。
いずれも、あと50~100箱ずつほどございます。

※貯蔵りんごについてお願い りんごは、蜜入りを確認してから収穫していますが、収穫から時間が経ちますと蜜は見えにくくなります。(「蜜」はソルビトールと水ですが、果糖に変化するそうで、「蜜が散る」とかいいます。) また、収穫から時間が経ちますと、どうしても内部の傷み(内部褐変)が進みます。故障果を除く努力しておりますが、何分、外観からは傷みが判断できません。混入する可能性もございますが、ご容赦下さい。

今年はジュースをたくさん搾りました

昨年は、春先からりんごジュースを多く利用していただいたこともあり、長い間、欠品し、大変ご迷惑をおかけしました。
また、2022年は、つる割れ(果実の裂果)も多く発生し、なかなか生食用として販売できない果実が多く出ました。
そうしたことから、今年はジュースをたくさん加工してもらうことにしました。
どうぞご利用ください!

ご注文・お問い合わせ先

 福蕨(ふくわらび)
 509-3206 岐阜県高山市久々野町山梨88-14
 TEL 0577-52-2494 / FAX 0577-52-2994
 e-mail hukuwarabi@hidatakayama.ne.jp
 url http://hukuwarabi.net

2023年01月11日