_栽培技術の習得

古幡芳明氏(長野県山ノ内町)による玉簾剪定〜摘果〜

ある梅雨の晴れ間、摘果作業最中の古幡芳明氏園(長野県山ノ内町)にお邪魔し、摘果の実際を教えて頂きました。
その内容をご紹介したいと思います。

記録日時:2010年07月10日
テーマ:古幡芳明氏による玉簾剪定における摘果の実際
場所:古幡芳明氏園


摘花/摘果に関すること

1)摘花/摘果のスケジュール
石灰硫黄合剤による薬剤摘花を、腋芽花の摘花目的に行う。樹の上部にある腋芽花が五分咲きの時と、その2日後に実施する。
あら摘果では、各花そうを一輪にする。
仕上げ摘果は新梢(果台枝)の伸びが止まった時期、7月初めに実施する。

2)着果量
着果量は、5頂芽に1果とする。

側枝や結果母枝の新梢の伸びの長短(勢い)で、着果量を増減することはない。勢いがある枝の着果量を増やしても、いたずらに隔年結果を増長させるだけで好結果をもたらすことはないと考える。

3)結果枝の条件
摘果の際には、ふじが完熟する枝のものを残す。
果台枝に生らせるが、さらに1.5cmまでの果台、5〜6cm以内の当年枝の組合せのものが理想。実際には、理想的な条件が揃った結果枝ばかりではないことから、15cm以内の当年枝のものまでを生らせるようにしている。
ふじが未熟果となるか否かは、果台の長さが最も影響している。しかし、果台の長さを全て確認することは困難であることから、実際には当年枝の長さを目安に摘果作業を進めている。

(理想的な条件)

(新梢の長さの上限;15cm程度)

(新梢は短くても良い)

(新梢は、伸びていなくても良い)

新梢が長い=果台が長いと、果実品質が劣る場合が多い。よって、仕上げ摘果の時点では一番に大玉でありながらも、摘んでしまう。

(長すぎる新梢;20cmを越える)

4)着果位置
着果は、原則3年枝(旧4年枝)以降の場所とする。側枝は勿論のこと、側枝より下のオーダーの枝に関しても(果台枝に生らせることと新梢の長さからみれば)、2年枝よりはむしろ、3年枝、4年枝に生らせる。
間引き剪定を行うため、側枝から、さらに年数を経た枝ができる。その枝(側枝より下のオーダーの枝)の先端は、条件が揃えば生らせても良い。が、概して小振りになりやすい。(よって、先端よりはむしろ、3年枝に生らせた方がよいかもしれない。)

(3〜4年生の枝の先端に生らせることもある)


樹形や剪定に関すること

5)樹形
ふじは、樹冠(クローネ)が直径12mはないと、品質が上がらない。よって6m間隔で植えるようにする。
主枝、亜主枝といった骨格をはっきりさせ、それぞれに側枝の塊を着けるようにする。よって根本はすっきりと明るい。

(主枝、亜主枝の分担が明確)

(根元の明るさ)

根に近い枝の果実は、品質が下がる。よって、根元の空間には、亜主枝などから返し枝を作る。(根に近いところから返し枝は取らない。)

(左上方向から根元へ返す)

6)側枝
側枝は、やや斜め下方向の枝を用い、徐々に、弓状に下がるように仕立てる。真下の枝を側枝にすると、先端が弱りやすい、側枝間が詰まる、などの欠点が生じるため。

(骨格枝を下から覗く)

主枝、亜主枝の骨格がしっかりと上がっていれば(引き枝の役割を果たしていれば)、大きな側枝が下垂していても構わない。その下垂した側枝から、さらに落ち着いた側枝をだし、収量を上げるようにする。主枝、亜主枝といった骨格が出来上がれば、そうした枝は間引く。

(右に主枝、奥に亜主枝、中央に側枝)

7)樹勢
側枝先端の伸びは、20cmを理想とする。それよりも短い時は剪定が弱すぎたと判断し、長い場合は樹勢が強すぎると捉える。

(側枝先端:20cm程度の伸び)

剪定が弱すぎたと思われても、今の時期は鋏を入れない。品質の向上には、二次生長させないことが肝要であるが、今、鋏を入れると、折角止まった新梢の先端が、また動き出してしまう。


後記

冬に、剪定をご指導頂いた際、「果実品質は、剪定と摘花/摘果で大きく左右される」と言われたことから、摘果の時期に是非にも、と思い、お邪魔した次第です。お忙しい中、長々とお邪魔し、ご指導賜りましたことに、感謝の念が絶えません。
なお、行くに当たっては、生産者仲間のお手数を煩わせてのこと。本当に有り難いことです。