_栽培技術の習得

古幡芳明氏(長野県山ノ内町)による玉簾剪定〜下垂枝を利用した、垂直方向を意識した樹形づくり〜

記録日時:2007年02月17日
テーマ:古幡芳明氏による玉簾剪定〜下垂枝を利用した、垂直方向を意識した樹形づくり〜
場所:古幡芳明氏園


下垂枝を利用した樹形づくり

1.出発点
ふじの未熟果を減らすことを考えるところから始まった。果台枝の利用を検討し、枝を垂らすことがよさそうだと判断し、取り組み始めた。

2.理想の結果枝
結果枝は、10cmまでの果台枝(前年枝)で、果台が1.5cmまで、当年にさらに5〜6cmまでの延びという、三拍子揃ったものが理想的。(この結果を得るためには、隔年結果とする。)
3年枝に生らせていたが、いま一つなので、今は主に4年枝以上の古い部分の中短果枝に生らせるようにしている。

3.樹形
2本主枝、4本亜主枝の構成。
主枝、亜主枝の先端のみ、先刈りを行い、軽くして、樹勢を維持するようにする。
また、主枝、亜主枝の先端は、下げると側枝が太る。よって先端を下げないように支柱をする。

(主枝先端/軽く/支柱を入れる)

「わい性」も、主幹形よりは開心形の方が良いのではないかと思う。
(わい性・開心形にて)主枝、亜主枝の先端が垂れるようであれば、途中の徒長枝から芯を取り直す。

(わい性樹)

4.側枝の作り方
1)枝の角度
側枝は、下垂枝を用いている。全てを下枝で行えば、樹勢は揃う。
骨格枝から真下に出た枝よりはむしろ、やや斜め下向きのものがよい。真下に出た枝は、先端が止まりやすく、弱勢化しやすい。また、骨格枝の真下の空間が埋まってしまう。よって、やや外向きの枝を用い、徐々に生らして、下垂させていく。

(側枝の角度)

「生れば垂れます」

2)切り返しや先刈りはしない
風が吹けば軽く揺れるような、そんな側枝が理想。
側枝を作る際、「切り返し」や「先刈り」をしない。「腰入れ」すると、枝が硬くなり、揺れなくなる。
下の方ほど玉のびがよい。そこへ「力」がいくような剪定を心がけている。鋏を入れると、関所の効果をうむので、切り返しは原則しないし、するとしても影響が出ない位置で行う。(若い枝、骨格枝から近い位置での切り返しは、ない。)

3)徐々に一本棒にする〜落ち着いてから間引く〜
側枝の主軸先端は、毎年15〜20cm程度を伸びるのを理想とし、その勢いを維持できるように、枝を間引く。
間引きにより、次第に一本棒に仕立てていくが、そのタイミングは、主軸の先端の勢いから判断している。

(一本棒になりつつある側枝)

側枝が強勢であれば(先端がのびすぎているようであれば)、牽制枝(立ち枝)や横枝(結果枝)を配置し、落ち着かせる。側枝が落ち着いてから、牽制枝、横枝を間引き、一本棒にする。
例えば、下の写真の枝は、まだ勢いが強いので、横枝などを多く配置し、また派出部近くにも立ち枝を残している。

(側枝先端の長さを確認する)

(抜く枝の量を決める)

枝の外し方は、横方向はでべそ切り、直上はすり切りとする。
牽制枝は、なるべく側枝の生え際近くに配置する。牽制枝は、2年ぐらい残すと、それよりも先端は早期に落ち着く。落ち着いたら、落とす。
はずす時は、先端近くからはずす。その方が、枝に与える衝撃は少ない。最後まで置いておくとすれば、根本近くになる。
こうした作業を、側枝のスケールで行い、さらに下位のオーダーの枝(間引かれる前の横枝)についても行う。

(大きな側枝)

5.ポンプ枝
最も高い位置にポンプ枝(立ち枝、徒長枝)を置くことで、より地下部の水分、養分を果実に行きわらたせることができる。
しかし(そこまでを太らせる、先端が重くなるから)、主幹から先端までの丁度、中間点にポンプ枝を設ける。ただし、長く使うと大きくなりすぎるので、2年で更新する。


後記

初めて古幡氏の園地にお邪魔し、剪定講習をして頂いた時のメモです。お仕事の最中、少人数でお邪魔したにも関わらず、実際に鋸、鋏でもって、丁寧に講習して頂きました。ありがとうございました。
それにしても、その迫力たるや!
この度、以前のメモを出し、写真を整理したのですが、記録が十分にできていないこと、残念に思います。不足のこと、多々あるかとは存じますが、どうぞご容赦下さい。
「また、りんごが生っている時に来たらいい」とおっしゃって頂いたので、次は葉摘みの頃にお邪魔しました。その時の衝撃はもっと大きかった!のですが、これについては、またページを替えて。

後日、この側枝の剪定で、勢いを維持するためにどれくらいの量を間引くのか、その「勘所」のようなものについてお伺いしました。「伸びすぎたり、あるいは落ち着きすぎたりの繰り返し。その経験を積み重ねること。」とのアドバイスがありましたこと、付記しておきます。