_果樹園の記録

つがるの収穫が盛期を迎えています(2010.09.22)

桃の収穫/出荷が終わり、ほっとしたのも束の間、つがるの収穫が盛期を迎えています。
今年は、春が遅れたためか、収穫のピークもようやく今。例年よりも1週間ほど遅いように感じます。
催促の電話をよくいただいていたので、収穫/出荷がようやくこなせるようになり、これまたほっとしています。


『つがる』の系統

当園では、普通の『つがる』と、着色系の『つがる姫』の、2つの系統を栽培しています。
コンテナに入った状態で見比べてみると、一目瞭然、といったところです。

(つがる)

(つがる姫)

当園では、『つがる』に比べ、『つがる姫』の方が熟期が若干、遅れるようです。
また、『つがる』の方が果汁が豊富で、食べやすいようです。
この熟期や食味の違いを、先日までは品種特性だと思っていました。
しかし、よくよく考えると、台木の違いのように思えてくるのです。

『つがる』は丸葉台、『つがる姫』はJM7台となっています。
当園の『ぐんま名月』をみると、丸葉台では10月下旬に熟期が来るのに、JM7台の果実は11月に入らないと蜜が入りません。
また、JM7台の果実は、少々、乾いた感じがします。
同じように、『つがる姫』を丸葉台で作って、比べてみると、もっと食味がよいようになるのかも知れません。

どうも、JM7台は、当園と相性が悪いようです。

今年の多雨+酷暑という悪い環境条件の下では、わい性台木を使った個体は、味が不安定になりやすいかと思います。
病気や害虫が多発する条件下で、かつ、人や植物には優しくない天候。
ですから、安易に、今シーズンを基準に考えることは危険ではありますけれども。

今年の被害果

今年は春に雹害、長雨、さらに酷暑、と自然は優しくありませんでした。

6月の雹は、ややもすると、コルク状になって、カメムシの吸汁被害果と同じようになる、と言われてました。
しかし、今になれば被害箇所は脹らんで、サビ状になり、食味に問題ない様子。一安心。

(雹害果)

昨年は、シンクイムシの大発生に見舞われました。
その苦い経験をもとに、シンクイムシ対策も視野に入れて防除暦を組みました。
が、やはりシンクイムシ対策は2年越しとのこと。
本年も(昨年ほどではありませんが)被害果が確認されます。

また、これまで、果実の日焼けというものをみたことがなかったのですが(高冷地ですから?)、さすがに今年はありました。
写真(↓)は『きおう』の日焼けの様子ですが、他にも『昂林』などのふじ系統にまで確認されました。
これが日焼けかー、と感動。(?)

(ヤケ症状)

人もしんどかった分、自然も大変だったのだろう、そう思います。

品種更新の話・・・『みよしレッド』の場合

実は、『つがる』という品種の出荷量は減っています。
これにはいろいろな理由が考えられます。
『つがる』という品種の味が飽きられたこと。
『つがる』にある渋みがあまり好かれないこと。
こと当園では落果防止剤を使わなかったことから青臭い果実を出荷せざるを得ず、これにより不味い品種と認識されてしまったこと。

そこで、産地全体に『脱・つがる』の空気があります。
例えば、9月は桃に切り替え、リンゴは10月、11月の出荷に専念する、といったことが検討されています。
当園でも、9月のりんごの栽培の継続を検討する時が来ていると、そう感じています。
9月上中旬までは桃、暑さが残る9月下旬に梨、10月のレッドゴールドからりんごの季節、そんな果物暦を作ることも考えています。

とはいえ、「りんご屋さん」とお電話をいただくこともしばしば。
りんごの案内に、待ってましたと注文を寄せて下さること。
これを思うと、美味しい9月のりんご(落果防止剤を使わなくてもよい品種)を探さねば!と思ってしまうのです。

とうことで、新しく試作している品種の紹介です。
今年、初生りしたのは、「みよしレッド」という9月上旬のりんごです。
青森県の原田種苗にて販売されてます。

なにより、カタログどおりの美しい果皮。
味はいいから、この見た目だけで良し!といいたくなるような、りんごらしい(?)外観です。

初生りで、無理に生らせたのですが、果重はこんなものかな。

早速、切ってみると、おぉっ!蜜入り!

味は、どちらかというと、『さんさ』の方がしっかりしているように感じました。
しかし、初生りの、腋芽花に無理に生らせたものでこれだけの味だったので、楽しみです。

※皆様にお届けできるのは、まだまだ数年先の話となります。ご了承下さいませ。


『つがる』に代わる品種の検討は、各県ともなされています。
この時期のリンゴとして、昨年、山形県から「ファーストレディ」(つがる×さんさ)という品種が発表されました。
近年、都道府県が作出した品種は、県外に出さないようにする傾向がありますが、この品種は今年、県外にもオープンにされました。
山形県の狙いは、「品種の知名度を上げて、消費自体を向上させること」とのこと。
確かに、大産地で栽培されることも大事ですが、消費者の身近なところで作られてこそ、その品種の知名度は上がるように思われます。
頭が下がります。
また、県外の栽培を制限している品種が、苗木も動かず、知名度も上がらす、結局は一部の栽培・消費に限られていることを鑑みれば、品種のためを思えば、良策といえるのではないでしょうか。(園主は、長野県の知人にそのように言われたことがあるようです。)
『つがる』を収穫しながら、りんごが消費者に好かれるものであり続けることを願っています。