_季節のご挨拶>2011年1月

寒中お見舞い申し上げます(2011.01.08)

旧年中は格別のご厚情を賜り厚く御礼申し上げます。

2010年は、収穫期に林檎の樹下に入ると、蜂蜜のような香りが強く漂う年でした。
ふじを収穫していて、かつてこんなに香ったことがあったのだろうか、と思うことしばしば。
困難な年ではありましたが、最後にこうした果実を得ることができたことは幸いでした。

2009年が厳しい年でしたから、まさか二年続けておこるまいと、気を取り直して迎えた昨シーズン。しかし、春先から凍霜害、開花期の低温による授粉障害、雹害と、立て続けに厳しいことが起こり、十分な着果量を確保できませんでした。夏の酷暑が与えた影響も甚大でした。
結果的には、平年に比べ、大幅な収量減となってしまい、皆様に、ご迷惑をおかけしました。

自然条件は過酷でしたが、一方で、栽培技術について多くを学ぶ機会を得、果樹栽培の楽しさを改めて感じる一年でもありました。
りんご、ふじについては、古幡芳明氏(長野県山ノ内町)の剪定と摘花/摘果技術を、桃は大藤流と呼ばれる弱剪定の技術を、それぞれ学ばせてもらいました。
いずれも、労力を軽減させたり、効率化を図る技術ではありません。「果物が美味しくなるように」と、品質向上を目指して取り組まれている技術です。労力はより必要となります。
当園では、これらの先輩諸氏に学び、果実品質は、まずは剪定や摘花/摘果といった基本技術に左右されることを改めて意識し、品質向上に取り組んでいく所存です。
同時に、より安全な病害虫対策に努力し、安定した生産につなげていきたいと思っています。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

ふくわらび 


「小玉だけど、家で食べるのはこれがいい」

新年早々、このように(↑)評されました。
妙に心地良く響き、この数年、考えてきたことを思い起こしました。

当園のふじは、小玉傾向で、よく、「こふじ」と呼ばれたりしています。
ふくわらびの圃場は、他産地に比べ、春は遅く、冬の到来は早い。ですから、生育期間は短く、収穫日までにふじが完熟(登熟)するかどうかが心配になってきます。果実肥大は生育期間の長さに比例しますから、他産地並に果実(ふじ)を肥大させようとすれば、なおさら、登熟が遅れる可能性は高まります。
普通ふじ(東北7号)よりも、若干、早生の着色系統を選び、肥料を少なめにして小玉に育て、収穫時には完熟させる(青味が残らないようにする)。
これもまた、ふじという林檎の一つの形ではないか、そう考えています。

※ 最近、りんごの主要産地である青森県や長野県で、小玉で硬く、完熟したりんごを販売する生産者が増えてきているようです。

化学合成農薬を増やさないために

この数年の体験から、減化学合成農薬栽培を目指すには、まず、その地域で「病害虫の発生源をつくらない。」「病害虫を持ち込まない。」といった予防が必要であると痛感しています。
農作物は、多かれ少なかれ、常に病害虫にさらされています。ある国や地域に、それまでに存在しなかった病気や害虫を持ち込むことは、その国での農薬の使用量を増やすことになるでしょう。りんごの黒星病は、その好例(?)といえます。
農作物の広範囲の移動は、このリスクを負うことです。行き過ぎた輸出入は、有機、無機、問わず、怖いように感じます。

対して、防疫ということがあります。
輸出に際しては、相手国にいない害虫がついていないという保証がある果物のみを輸出するようにしています。それは、徹底した薬剤防除をしたということになります。
それはそれで、不安が残ります。
なるべくならば、その土地で育てたものを、その場で食べるようにする方が、安全につながるように思えます。

つがるに代わる品種を求めて

初秋のりんご、つがる。
果汁があり、甘さと、夏らしい渋みがあるりんご。軟化しやすいのが難点な品種。

一世を風靡したこの品種も、近年は売上が不振です。桃と兼業している生産者は、つがるを伐り、晩生の桃に切り替えていくようです。
当園でも、この数年、つがるの代替品種を模索してきました。特に昨シーズン、酷暑によるものか、満足のいく品質が得られなかったこともあり、早急に切り替えていく必要性を感じています。
桃と収穫期が同じで、玉揃いが悪いことから一度は伐った「さんさ」をもう一度、植えました。また、青森県の民間育成品種「みよしレッド」や、山形県の試験場が育成した「ファーストレディ」という品種の苗木も取り寄せています。

美味しいものに出会うと、幸せになります。看板に「美味しい」とかいった宣伝は掲げていませんが、美味しい果物に出会いたい、そう願いながら、林檎を育てています。