_季節のご挨拶>1月

寒中御見舞申し上げます(2010.01.12)

旧年中は格別のご厚情を賜り有難うございました。

昨年のりんごは、やや小玉で身が締まった果実となりました。天候の影響か、害虫の為か、小振りになったものの、ちょうど良いくらいだったのではないかと思っています。
とはいえ、冬のニホンジカによる新芽の食害、春の凍霜害、開花期前後のリンゴハナゾウムシによる花の食害、初夏の長雨による桃の腐敗病とりんごの褐斑病、その後の乾燥とシンクイムシの大発生、と年中難問続き、胃が痛いこと続き。化学合成農薬を減らしての栽培は、環境の変化に影響されやすいことを痛感させられた一年でした。
りんごの褐斑病やシンクイムシの対策には、農薬よりも先ず環境の整備が大事と考え、年の暮れから圃場の周辺の改善を始めました。剪定などの基本的な技術を向上させると共に、病害虫の対策に努力し、安定した生産につなげていきたいと思っています。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

  2010年1月

福 蕨  


トピック

 りんご「ふじ」のご案内
 品種の話
 (1)「ふじ」の系統を選ぶこと
 (2)「こうこう」…軟らかくて味がある青りんご
 (3)洋梨「コンフェレンス」
 農薬の話
 (1)小さな果樹園
 (2)デフレ
 肥料の話
 (1)ある無肥料栽培の研究者の言葉
 (2)味見会で幸水を切ること


りんご「ふじ」のご案内

現在、平年並みに「ふじ」を貯蔵しています。収穫後、すぐに冷蔵庫に入れたもので、まだ食味がしっかりしています。(ただ、昨夏は気温が低かったことから、ふじの内部褐変の時期が早くなると予想されており、気がかりです。)どうぞご利用下さいませ。
・「ふじ」ご自宅用 3,100円/5kg箱 ※残り少量
・「ふじ」ご自宅用M玉(小玉) 2,500円/5kg箱

ジュース、ジャム

他に、ジュースやジャムなどの加工品もございます。
・りんごジュース(ストレート/すりおろし)
・りんごジャム(グラニースミスとふじ)
・桃ジャム(滝ノ沢ゴールド)
・洋梨ジャム(オーロラ)


品種の話

(1)「ふじ」の系統を選ぶこと

ひとつに「ふじ」といっても、いくつもの系統があります。当園が入手したものだけでも、オリジナルの薄い着色のふじ(命名前の系統番号で東北七号と呼ばれる事も多い)、長ふ2、日野、高橋系、レッドセブン、駒ふじ、極ふじ、寿ふじ、2001年、ふじチャンピオン、宮美ふじ、などなど。また十月に収穫できる早生の、昂林、ほのか、等。
着色、形、味、収穫時期、日持ち、それぞれに特徴があります。この二、三年、新しい系統の特徴が少しづつ把握できてきました。味の差は大変微妙なものだけれども、良いと言われている系統はやはり良い。形は少しばかり不味くとも味が良いものを、そして出荷時期がずれるよう、系統を選んでいるところです。

(2)「こうこう」…軟らかくて味がある青りんご

「こうこう」という青りんごがあります。名前の由来は、(1)弘前大学でできた黄色いリンゴ→弘黄、(2)親孝行するときに贈るリンゴ、親孝行する人が食べるリンゴ→孝行、とのこと。
一昨年、昨年とも、20玉ほど採れました。一昨年は果肉が軟らかく、味はふじより優しく、清明の好きな方、ご年配の方にあうのでは、と思いました。昨年は、前年に比べ少し硬めでしたが、やはり「軟らかくて味がある」、清明に似た印象を持ちました。玉ぞろいが悪かったり、栽培は難しそうですが、販売できるようにしたい品種です。

(3)洋梨「コンフェレンス」

コンフェレンスは、台風で傷つきやすく、使える農薬も少なく、そしてシンクイムシにも弱くて、毎年何らかの被害があり、安定生産は難しい品種です。もう止めよう、何度、そう思ったことか。昨年のシンクイムシの大発生は決定的で、実に、半分以上の果実が食入の被害にあいました。
近年、当地でも収穫できるようになったラ・フランスへの品種更新や、有袋栽培への転換などを考えています。食味が大きく変わるので、安易に結論を出せませんが。

農薬の話

(1)小さな果樹園

りんご栽培で一番の合理化といえば、デナポンという殺虫剤による薬剤摘果が上げられます。薬剤摘果は、想像するに、摘果労力を四分の一程度にし、生産費を減らし、一方で栽培面積を増やすことを容易とします。そのデナポンという薬剤、環境ホルモンの疑いが強く、安全性を求める団体の中には殺虫目的の使用を禁止しているところも見受けられます。しかし、同一の団体が、摘果目的の使用を認めている場合があると聞きます。
以上は、繰り返しの話。
最近、合理化を図り、栽培面積を拡大し、サービスを拡充することが求められているような気がすることもあります。しかし、前述の薬剤を使わずに摘果できるだけの、現在の面積や規模を維持していくことが、性に合っているように感じます。事務員もおらず、満足して頂けない場面もあるかとは存じますが・・。
小さな果樹園で、化学合成農薬を減らすことを確実に実現していきたい、そう思っています。

(2)デフレ

最近、よく、デフレという言葉を耳にします。確かに農産物価格は、かつてないほどに下がっています。りんご一個の価格を、五十円にまで下げようとするスーパーもあると聞きます。新聞では、スーパーの過当競争が引き起こしている現象だとも書かれています。昔、安売りを見ると、取り込み詐欺の被害にあったものが並んでいるのかなと思ったものだけれども、しかし今は、れっきとした流通のものが安く並んでいる。
一方で、デフレといわれながらも、生産資材は何も下がっていません。当園で使う有機質肥料は、二年前に2割の値上げ、そのまま上げ止まりです。農薬や安全栽培の資材も似たようなもので、下がっているものは見あたりません。そんな中で、農産物の小売り価格が低く抑えられることは、とても恐ろしい状況です。
出口が決まった状況で再生産するためには、グレードの低い資材を使ったり、損失を減らすために更に化学物質に頼らざるを得なくなります。偽装も起こるかも知れません。これでは安全なものから遠ざかってしまうのではないか、そう危惧しています。

肥料の話

(1)ある無肥料栽培の研究者の言葉

ある研究者の言葉が記憶に残ったので、おおよその内容を記しておきます。

 肥は越える(過ぎる)事。無肥料とは越えた肥料の無い事。

 必要な分は与えるが余分なものは与えない。

上手いこという。そういえば、随分前の長野県の果樹雑誌に、「有機質肥料は、やり過ぎるということがないから、美味しいものが採れる」といったことがよく書かれていました。(有機質肥料でも多すぎることはあるわけで、ちょっと間違いですが。)
りんごは少しばかり小振りが良い、と考えているのに通じることのようです。

(2)味見会で幸水を切ること

さて、たった一本だけ残った、幸水の話です。
味見会で、時期の過ぎた、取りこぼしの幸水に包丁を入れた時、果汁がポタポタポタと零れ落ちるのを、「こぼれる!こぼれる!」と子供達が手で受けとめようと必死に。それを見ただけでも美味しさを感じてしまう。フワーッと口いっぱい美味しさが広がる。
昨年、幸水を美味しく感じました。一昨年にも、大変美味しいという感想を頂きました。カメムシの被害が大きくなる前は無袋栽培でしたが、数年前から有袋栽培にしました。少し甘味は落ちているはずなのだけれども、これはこれで美味しい。
昔、波多腰邦男先生が「二十世紀は特別甘くなくても良い。糖度が十一度あれば十分だ。」と言われたのを思い出しました。ややもすると、甘さの影に果物の美味しさやジューシーさが隠れてしまう、ということをおっしゃったのだと思います。
糖度も大切だけれども、過ぎた甘さは味がのることとはまた違う、だから肥料選びは慎重になる、そんなことを感じた秋の出来事でした。