_季節のご挨拶>2008年8月

暑中お見舞い申し上げます(2008.08.09)

今年の夏は気温も高く、雨は少なめになっています。時々は夕立にも来て欲しいと思っています。この周辺だけ、雨雲は避けていくのですから。
ブルーベリーの収穫も峠を越えました。盆頃には桃の「あかつき」が始まります。今のところ、桃もりんごも順調に育っています。今シーズンもよろしくお願い致します。

さて、今年も相変わらずの作り方をしており、桃は袋を掛けたままで収穫をする薄い桃色の桃を送ります。
「テレビで、袋を掛けたままで農薬の少ない桃つくりがあると言ってましたよ」とお客さんに言われました。「うちは昔からそうしてるんですが」。未だうちは少々宣伝不足だったのかな。
7月上旬には果実袋を掛け、除袋せず、化学合成農薬の使用を収穫四十〜六十日前迄としています。(化学合成農薬の使用回数は、多い年でも、地域慣行の3割内にとどめています。)
本年の、主な品種と出荷時期(目安)は次の通りです。

 あかつき・滝ノ沢ゴールド 八月十五日〜二十五日
 まどか 八月二五日〜九月五日
 紅錦香(少量)・スィート光黄(少量) 九月一日〜十日
 川中島白桃(例年より少量) 九月五日〜十五日


今年も白いりんごをお送りします

りんごの果皮を白くする「ボルドー液」は、現在では殆ど使われなくなりました。なぜ、有機農業で認められている、より安全な「ボルドー液」が使われなくなったのか。NHKが1971年に放映した『ある人生「白いリンゴ」』にて、「りんごの白い色は農薬の色」といったイメージが植え付けられたことによると思われます。似たような番組は、民放でも多く見受けられました。(このドキュメントは、2000年に再放送されました。)
以後、「ボルドー液」の使用は避けられるようになりました。現在の防除歴では、使用したとしても1回程度に止まり、また、収穫果実に白さが残る収穫直前の使用は避けられます。(収穫直前は、薬剤散布の痕跡が残らない農薬(化学合成農薬)の使用が推奨されています。)
実際、一般に「白いりんご」は「農薬がかかっている、体に危険なりんご」と認識され、避けられる傾向にあります。白さは、カルシウムの色ですし、農薬の毒性そのものは目に見えにくいもの、某食品に混入されていた殺虫剤も目には見えないもの、にもかかわらず、です。

ふくわらびでは、当園のりんごを選び、食べ続けて下さる皆様のお陰をもち、「ボルドー液」の使用を続けられています。感謝申し上げます。

さて、今、行政の後押しや利益誘導もあって、雨後の竹の子のごとく有機農業家が増えています。いや、有機農業では化学物質は一切使えないので、エコなんとか、クリーンなんとかと呼ばれる「減化学物質」の栽培です。ある作られた基準より3割とか、5割とか、化学物質の使用を減らせば何がしかの呼称が与えられます。そのエコやクリーンが増えればボルドー液の使用も復活するかと思えども、その兆しはありません。やはり「農薬の少なそうな外観は・・・」と言うことです。
化学合成農薬を減らそうと思うと病虫害の被害果や、ボルドー液の石灰の色などを、消費者が気にしないようになることが前提としてあります。そのことに全く触れない有機農業の推進は、本当に減農薬に繋がっていくのか、外面だけの減農薬になっていくのか、実体の無い「安全・安心」を振り撒くだけなのか、と憂慮しています。
また、有機農業で使用の認められている除虫菊乳剤や硫酸ニコチンなどで、農家を対象とした商品がなくなりました。今年、ブルーベリー園において、天然のカミキリムシの病原菌を培養した「バイオリサ・カミキリ」というものを使用しました。それなりに効果があるようですが、これはカミキリムシにのみ有効で、他の害虫を対象とした商品が待たれます。有機農業を支える技術・製品が、私たちの手元に届くまでには時間がかかりそうです。

消費者、生産者の双方にとって、安心できる農業が実体を伴ってくるまでには、今しばらく時間がかかるようです。

ボルドー液を使う理由・・・回数か収穫前日数か

現在の、減農薬の程度の判定は、年間の化学農薬の使用回数で決まります。安全な食べ物として考えるなら、散布から収穫までの日数が重要ではないかと思います。同じ十回の散布でも、最後の散布が収穫五十日前、百日前というのと、収穫前日、一週間前というのとでは、安全性には随分と開きがあるのではないか、と考えています。
当園ではこのことを重要視し、7月下旬からは特に化学合成農薬の使用を基本的にはゼロに削減し、「ボルドー液」を使用します。
ちなみに「ボルドー液」は、大雨後の薬害の心配、他の安全な農薬や忌避剤との相性の悪さ、その上ハダニが発生しやすくなること、などなど、使いづらい要素が沢山あります。散布のタイミングなどに細心の注意を払いながら、毎年この八月を乗り切っていきたいと頑張っています。

新しい果実袋

果実を病害虫から守ったり、外観を良くする為に果実に袋を掛けることがあります。当園では桃だけに掛けています。
今年は、今迄とは全く違う袋を、試験的に、超減農薬のりんごや一部の桃にかけてみました。極微小の穴の開いた特殊なプラスチックフィルムの袋です。昔、何十年も前、自分で透明の袋をセロファンで作って試したことがありますが、中が蒸れてうまくいきませんでした。この欠点を微小の穴を開ける技術でカバーしているようです。
味の事もありますが、病気に強ければと思っています。(紙では無いので、化学物質過敏症の方にどのような影響があるのかはわかりません。)


肥料の話

最近、園内の二ヵ所で、桃やりんごを新植しました。一ヵ所は当園で普通に使っている数種類の肥料を十分に使い、もう一ヵ所では、ちょっと安価な構成にしてみました。前者は、健康で、しっかり育っています。後者は、窒素成分はありながらも、何かしら、不安を覚える育ち方をしています。
以前、新しい土に植えたとき、味がでるのには何年もかかり、苦労したことを思い出しました。

例えば「昔の味」が良いといっても、昔の肥料をそのままに使うには、事情が違ってきています。鶏糞などは、特に鶏インフルエンザ以降、抗生物質の投与が日常的になっています。また、BSEの問題以来、肥料の原料事情は大きく変わってきました。同じ硫化カリ、硫化マグネシュウムと言っても、有機JASで認められているものとそうでないものがあります。
これまでも、肥料屋さんの説明を受けながら、土も良くなり、味も良くなるものを選んできました。それと同時に、同じ有機質肥料でも、原料も流通も安全なものを選択する必要性に迫られています。
現在では、高直ではありながらも、それなりに安心して果実を収穫できる肥料の構成になっていると思います。そしてこの肥料の構成が、今のふくわらびの味をつくっています。

植え付け当初よりそうした構成の肥料をやれば、今植えた木が実をつける頃には、ふくわらびの味がでるように土も変わってくれるのではないか、と考えています。


技術の改良はいつまでも続く

昨年、フジの新しい剪定を長野で習った。

今年は二年目になる。基本は、前に青森で開発されたものでも、一見したところは全く違うものである。これまで、青森の剪定技術や、いつも指導に来てもらう長野の先生の技術に忠実であるよう、心がけてきたので、その新しい技術にも何とか取り組むことが出来た。と自讃している。
それにしても、この技術の一番びっくりしたところは、実をならせる位置が違う点である。枝には今年伸びた枝(一年枝)、昨年伸びた枝(二年枝)、二年前に伸びた枝(三年枝)、三年前に伸びた枝(四年枝)とある。普通は二年枝になる実は小さく不味いので、三年枝、四年枝にならせる。しかしこの新しいやり方は三年枝にも実をつけない。四年枝にならせる。ということは、新しい枝になりだすのが一年遅くなるということである。普通は三年枝に大きく立派なものがなるとされているのに、なぜ。
どうも、立派さよりむしろ、特別な果実品質を求めた結果らしい。二年枝にはならせないようにと言われながら、未だならせる人のいる時代に、よくぞ三年枝に成らせないなど、考え付かれたものだと、深く感心させられた。

長年やっていて当たり前と思っていた栽培法に次々と新しい発想が出てくる。いつまでも勉強はし続けなければ。