_季節のご挨拶>2007年1月

寒中お見舞い申し上げます(2007.01)

昨年中は格別のご厚情を賜り有難うございました。本年もよろしくお願いいたします

昨年は七月に雨が多く、ブルーベリーにとっては最悪の収穫時となりました。その後は天候に恵まれ、畑の作業も、りんごの品質も順調に終えることができました。
年末は一昨年と違って、雪も無く、昨年二年間出来なかった畑の整備に精を出しました。結構昨年の遅れを取り戻し、順調にきました。少し余裕が出来た、と思った年末に、洋ナシを作りたくて五アールを隣に借りに行ったら三十アールの園地の管理を引き受けるようになり、その改植に大わらわです。一部は笹が繁茂している所もあり、老骨に鞭打って、といった感じです。余力のある方、是非ボランティアに。
生産量は増やさなくても、いろんな品種を増やしていきたい、と思っていますが、今年は「きおう」「ぐんま名月」「シナノゴールド」など昨年好評をいただいている品種が少しは増えそうです。また今年は九月のりんごの新品種を少し接木して増やそうと思っています。三年後には少し皆様に味を見てもらえるかと思います。
また、いろんな新品種の感想などをホームページの日記で書きかけていますが、週一の日記ではまだ不十分です。

福蕨


ジュース

昔、ジュースを作りかけた頃は、加工業者の差を意識することもなく、また加工には二等品、三等品の果実を使うものと思っていた。しかし、経験を重ねるに従って、あの工場、この工場と、自園の果実にあったジュースを造ってくれる所を探すようになった。また、原料も良い物を選び、その冷蔵庫管理も徹底するようにした。今では表面に多少の傷はあっても、味や鮮度は皆さんにお送りするものと同じ品質のものを用いるようにしている。よく店に袋詰めで売ってあるものよりも良品質である。

 「品質の良いりんごを新鮮なうちに絞る」をモットーとしている。

最近、雑誌やテレビのグルメ番組にも紹介される加工業者が、おいしいジュースの絞り方として、「青い、未熟な物を何ヶ月も寝かせてから絞ると甘みも出て、果汁もりんごらしい黄色になる。但し、そうすると酸味が抜けるのでりんご酸を足す。さらに包装などに配慮することでより高く売れる。」といったことを述べている記事を読んだ。
確かに台風などで落ちた未熟なものをジュースにする時は寝かせておく事もある。しかし、これ以外のジュースは不味いと言われると、これはおかしい。まして、りんご酢を混ぜたものを美味しいジュースと言われると、議論の余地がない。酸廃した様な、酢の味を混ぜたジュースを美味しいと感じる人には美味しいわけで、これには反論しようが無い。しかし、りんごジュースとしては、ある意味、まがい物ではないだろうか。
また、さる有名な果物店で販売しているリンゴジュースは、十数種類の品種を混ぜたものだという話を聞いた。確かに多くの品種を混ぜるのは美味しいジュースを作る秘訣だとは聞いていて、当園なりに多くの品種を混ぜるようにしている。でも十数の品種を混ぜようとすると、当園のような多品種を作っている果樹園でも、早生から晩生までのりんごをまとめて絞るようになる。そうすると、早生のものは鮮度が落ちてしまう。或いはジュースにして缶に詰めておき、晩生種を絞るときに混ぜるという方法もある。しかしこの味は今一である。

当園では無理に多品種を混ぜるよりも、「その時節の新鮮なりんごを用いること」と「各品種が持つそれぞれの特徴に応じた組み合わせ」が美味しいジュースを作ると思っている。

ジャム

ジャムもまた、同様に考え、取り組んでいる。そして今年、ようやく品種の使い方が決まった。
昨年までに、むつとふじを組み合わせたジャムが、大変美味しいことがわかっていた。ソフトな酸味がする、当園のベーシックなジャムの味である。
今年は、紅玉だけの大変しっかりした味のジャムができた。原料も特に良品質のもののみを使ったが、さすが紅玉である。
その次に、加工用として世界的に定番になっているグラニースミスとふじを混ぜたものを作ってみた。しっかりした酸味が利いて、好評いただいている。
また、先に書いたジュースではないが、どんな品質の物でも、細工をすれば、ジュースにもジャムにもなる。砂糖とペクチンを混ぜれば立派なジャムが出来る。でも素材の味はどうなっているのか、と思い、生食用に販売するものと同等の品質のものを原料にしている。
普通、このタイプのジャムは五百円〜七百円で売られている。子供さんにも普段から食べてほしいと思い、価格は四百円。(店用の卸価格も同じ。)


肥料の味?

若い頃、メロンつくりの人に話を聞いた。「甘いメロンは誰でも作れる。高級メロンというものは、のど元を過ぎれば味が残らないものだ。」
美味しいと言って売っているつもりが無いので、あまり他の生産者のりんごの味には関心が無かったのだが、最近、息子が、名古屋の果物店で高額果実を買ってきたので食べてみた。さすが全般に甘い(糖度が高い)。
甘さ以外の特徴は、品種それぞれに固有のものである。最近の果物の味の評価は、糖度偏重にさえ思われるほど、甘さにこだわったものになっているが、例えば、ラ・フランスなどの洋梨は、甘さよりはむしろ、風味が重要になる。そうした特徴は、どうしたらでてくるのか。こんなことを考えさせられた。よくよく考えた挙げ句、肥料の味ではないだろうか?と思うに至った。
有機農業というと、主な関心の対象は農薬使用量に集まる。しかし、味を作っているのは葉っぱの力と肥料だろう。化学肥料の方が甘いものは作りやすいかもしれない。現に、有機質肥料で作った大根は、何年作ってみても、辛い(甘い大根を作るには、化学肥料を適度に混ぜる必要があるらしい)。しかし舌にまとわりつくような甘みは、化学肥料が生み出している可能性があるように思う。

以前、当園のリンゴを送った先から、「子供が次から次とリンゴを食べているのに驚き、食べてみたら、確かに美味しかった。」という感想が寄せられたことがある。「酸味のある紅いリンゴ」というのが、ふじを指していたこともある。当園の果実は、品種にもよるが、酸味や渋みも助け、舌にまとわりつくことのない、すっきりした甘みの味がしているのだと思う。
当園では特別の肥料、特別の技術を使ってはいない。昔使われた肥料、なるべく農薬は少なく、という基本的なことに忠実でありたいと思っている。糖度などは天候にも左右されやすいが、有機質肥料の素朴な美味しさが出るようにと思っている。すっきりしたりんごの味はそんな所で出来るのかと思う。

しかし有機質肥料は、化学肥料に比べ、何倍も高価なものである。加工品を鮮度が良く、きれいな原料でと思うと冷蔵庫も多く要り、手間が何倍もかかる。考えていることは単純だが、やろうと思うと結構難しい。


超減農薬

超減農薬の試みを、当園の畑の一部で長年やっているが、三年前、その園地で剪定などを教えてくれた木村秋則さんがNHKテレビに出た。
私の超減農薬も、木村さんの話を聞いてから、次第に方向性がつかめてきた。今年はこの畑を無農薬にしたい。


グルメの果樹園と言えば、昔、「このごろ桃の味がわかる人がいなくなった」と言って店を閉じられた方がやっておられたような特別の栽培法を指すのだと思います。
生食には向かない物、不味い物を食べられるようにする技術は、技術として自慢してもよいと思うのですが、これこそは本真物、他のはだめであると言う、無礼な表現や、それを担ぐ名のあるグルメ番組に絶望的な感じにさせられてちょっと書きすぎました。失礼。